日本人の美意識を映す陶芸

 
伝統的な和食や茶の湯との関わりが深い京都では、個性豊かな器がいつも暮らしのそばにある。
陶芸(焼きもの)とは、特徴ある土を混ぜて調整した素地土を、手やろくろなどの道具を用いて造形。成形後は、釉(うわぐすり)と呼ばれるガラス質の膜で器をコーティングしたり、絵付けを施し、その後高温の窯で焼成し陶磁器などを作る技術のこと。

原料となる素地土の性質は地域により異なり産地ごとに特徴のある焼き物が生まれた。京都で作られたものは「京焼」といわれるが、他の産地のように独特な様式や技法に特化しない。華麗で繊細な色絵をはじめ、多様な技法を用いた様々な種類の焼き物がある。その理由の一つに京都は1200年間、日本の都であり文化の中心を担ってきたため、全国からあらゆる焼き物の技術や作品が流れ込み、幅広い技術や感覚が研ぎすまされてきたからだといわれている。

日本文化が独自な発展を遂げたように焼き物も西洋と大きく異なる点が興味深い。まず材質の違い。洋食器は磁器で作られ、陶石と呼ばれる「石の粉」と粘土を合わせたものが多いが、対する和食器は主に粘土を材料に使う陶器が多い。和食器は手にもち直接口にあてて使用するので、質感や温かみに配慮したことが理由といえる。さらに異なる点は、揃え方だ。西洋のティーカップはセットの統一感があるが、日本では一つひとつ違うデザインのものを揃えることがある。これは亭主が客人に合わせて器を選ぶという茶道のおもてなしの心が根底にあるようだ。また、偶然できた歪みや不揃い、釉のにじみ具合にも日本人は美を感じ、使うにつれて角がとれて丸みをおび、じわじわと味が出てくる。これらが何とも言えない日本の焼き物のおもしろさであり、魅力である。

 

焼きものから生まれる一期一会

日本の焼き物に魅せられた一人の青年が約40年前に海を渡り来日した。アメリカ人陶芸家の利茶土ミルグリムさんだ。陶芸と出合ったのは大学1年の時。土を使って自由に造形できることに魅力を感じた。京都に住んだことがある教授2人から陶芸について教わり日本の美意識にも触れたことで、自分の肌で日本を知りたいと強く思うようになったという。

1977年、念願叶い来日。2ヶ月間基礎の日本語を学んだ後、ヒッチハイクで日本全国の窯元を巡った。その中で、16.7の茶陶(意味:茶の湯に用いる陶器のこと)に、最も惹かれた。その後、京都、萩焼(山口県)、備前焼(岡山県)、美濃焼(岐阜県)の窯元で修業を重ね、1985年より京都府日吉町にて築窯を果たした。

利茶土さんが一番好きな言葉は「一期一会」。37年間交流が続く茶道の裏千家の大宗匠をはじめ、多くの人たちとの出会いがあった。その“繋がり”を大切にしながら、伝統を受け継ぎつつ大胆で独特な感性が光る作品を長年生み出してきた。2つの祖国をもつ者として茶陶の文化を世界に広め貢献するため、「何百年たっても使い続けてもらえる作品」を目指しているという。そんな利茶土さんに、海外から京都を訪れる人が陶芸を楽しむための秘訣を聞いた。

「気軽に焼き物に触れたい人は、ぜひ美味な和食店に足を運でほしい。そうすれば自ずと多くの器が目にできる。一流の料理人は献立を考える時に料理を盛る器も含めて考えます。8〜10品登場しても、同じ器は使われません。五感をフル活用して、異文化を吸収し一期一会の旅を楽しんでほしいですね。」

黒織部茶碗

今古釉面取茶碗

 

■利茶土ミルグリム(RICHARD MILGRIM)
1955年ニューヨークに生まれる。1977年の初来日した時、5ヶ月間のヒッチハイクで沖縄県以外のすべての県をまわり100人以上の陶芸家と出合う。 1985年に築窯。日本をはじめ、世界中で展覧会を開催。



利茶土窯ギャラリー
利茶土窯 京都紫野ギャラリー
価格:酒器¥35,000〜/茶器¥250,000/水差し¥350,000〜

WEB: http://teaceramics.com/index.html
Facebook:https://www.facebook.com/richadogama/
※WEBサイトもしくはFacebookから要予約

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