ノルタルジックな香り漂う 純喫茶

「純喫茶」とは、本来はアルコールを扱わない純粋な喫茶店を意味し、昭和初期から増えた業態だ。現在では、当時の面影を残す日本独自の喫茶店のスタイルを指す意味で使われることが多い。京都で長年愛されている「純喫茶」を訪れて、歴史や文化に思いを馳せよう。



イラスト:Robin Hoshino


緑茶の生まれ故郷であり、お茶のイメージの強い京都だけれど、実のところお茶に負けないくらいコーヒーが大好きな街。その消費量は全国的にも高く、喫茶店の歴史も古い。
19世紀の末期にはすでに洋風の飲み物を提供するミルクホールが開店しており、大正時代に入ると女給がお酒やコーヒーを客席に運ぶカフェーへと発展。芸術家や学者、文化人が集うサロンのような役割を果たしたカフェーからは、やがてコーヒーなどソフトドリンクの提供に特化した純喫茶が派生する。木目やレンガ調などレトロな内装でフルサービスを貫く純喫茶は、シアトル系全盛期を経てサードウェイブが席巻する現在においても根強いファンを持ち、京都のコーヒー文化の一翼を担っている。

日本独自のコーヒー文化

場所:逃現郷


深煎り、ブレンド、サイフォン、コーヒーフレッシュ……。スペシャルティコーヒーをこよなく愛するロビンさんにとって、来日以来、日本のコーヒー文化は驚きの連続だった。産地や買い付け方法にこだわったシングルオリジンの豆を使用し、豆ごとの風味が実感できる浅煎りが主流のアイルランドとは、まるで正反対だからだ。ごまかしの効かない浅煎りは、豆の品質が命。それゆえ深煎りのものは低品質の豆に違いないという先入観を持っていた。だけど京都の喫茶店を何軒も巡るうち、品質の良い豆だからこそ出せる深煎りのクリアな味があることにも気づいたという。「実のところ、今でも好みの味は浅煎りです」と正直な彼女。
それでもなお純喫茶を訪れる価値があると評価するのは、そこがただコーヒーを飲むだけでなく、空間そのものや会話など、+αの要素を楽しむことができる場所だと思っているから。「どの豆をどんな配合でブレンドするのかも、その店のマスターによるひとつの表現。かつてのヨーロッパを忠実に再現したような雰囲気も含め、他では味わえない魅力が純喫茶にはあります」。
近年京都でも続々とオープンするスペシャルティコーヒーの店と、時が止まったかのような純喫茶。それぞれこだわる味やスタイルは違っても、一杯のコーヒーに注ぐ情熱に優劣はない。


星野ロビン/ROBIN HOSHINO
http://www.hoshinorobin.com
アイルランド出身デザイナー&イラストレーター。合気道をきっかけに訪れた京都での生活は4年目を迎える。スペシャルティコーヒーと京都の職人をマッチングさせた「CRAFT TABLE」など、食と文化に関わるイベントにも携わる。

  • 逃現郷
    TEL:075-354-6866
    住所:京都市上京区今出川通大宮上ル観世町127-1
    営業時間:8:00〜深夜1:00(フードL.O. 深夜12:00、ドリンクL.O. 深夜12:30)
    定休日:無休
    価格帯:450円〜
    タバコ:喫煙可



掲載されている情報は2018年8月時点のものです。

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