京町家から暮らしの知恵を学ぶ

京都の街を歩くと、風流な佇まいの木造建築が多く見られる。そこには驚くほど、細やかな日本人の知恵と精神が反映されている。長きにわたり京都の人の暮らしを支えている京町家、その構造や見所を覗いてみよう。

18世紀の京都の商人の息遣いが宿る京町家

「杉本家住宅」は、1743年に創業した呉服商「奈良屋」の店舗兼住まい。現在は呉服商としての役目は終え、大規模な京町家の貴重な建築遺構として保存・公開されている(建物は国の重要文化財、庭園は国の名勝に指定)。
「京町家には、日本人の心のあり方がよく表れていると思います」。そう話すのは杉本節子さん。「杉本家住宅」で生まれ育ち、保存会の理事として住宅の保存に尽力している。「四季が明確に分かれている日本、特に京都では、自然とともに暮らしがあることをとても大切にします。それは芸術の面を見ても明らかですね。住まいに関しても同様です。京町家は、木と土で出来ています。これらはいずれも自然のもの。さらに、例えばこの杉本家住宅では居住部分の周囲は庭になっており、障子を開ければいつでも自然の風を感じることができます」。自然を暮らしに取り込み、また自然を感じていたいという日本人の精神が住まいにも表れていると杉本さんは言う。
「一方で、自然のものは必ず朽ちていきます。それらを修繕しながら暮らすのですが、どのように繕うか。利便性を追求して変えてしまうことも可能ですが、昔の京都の人びとはそれをしませんでした。手間をかけ、丁寧に修繕したのです。手間をかけた分のぬくもりを感じるような気がしませんか」。

  • 杉本節子
    京都市生まれ。公益財団法人奈良屋記念杉本家保存会常務理事、料理研究家、エッセイスト。テレビ出演など京の食文化の継承に努めるほか、国内外での講演、企業・店舗メニュー開発・監修など幅広く活躍。著書多数。


  • 杉本家住宅・杉本氏庭園
    TEL:075-344-5724
    住所:京都市下京区綾小路通新町西入ル矢田町116
    公開時間:13:00〜17:00(閉館)
    閉館日:ホームページ要確認
    禁煙
    http://www.sugimotoke.or.jp/


非日常を演出する室礼も見事


日本では5月5日を「端午の節句」といい、男の子の健やかな成長を願う日としている。普段はシンプルな京町家だが、このような暦の節目や祇園祭など大きな祭事のあるときには、室内も特別な室礼に変える。「杉本家住宅」では、季節の行事にあわせて特別公開も実施している。

  • 春の一般公開「端午の節句」展
    公開日:4月29日〜5月6日 13:00〜17:00(閉館)
    ※5月1日・2日は休館
    維持保存協力金:¥1,000
    予約不要



※掲載されている情報は2017年2月時点のものです。

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